第97話:知っているからこそ、わかる凄さ

  

「南澤さん、正直なところ……ここまで違うとは思っていませんでした」ーーーこれは、ある中堅企業の経営者の言葉です。

 

これまで、その企業では社員研修について人事部門に任せきりにしており、社長自身が深く関わることはほとんどありませんでした。

 

人事が主導する形で社内研修を継続的に行っていたものの、「成果が見えにくい」というのが率直な感想だったようです。

 

南澤がその企業に関わることになったのは、ある方のご紹介がきっかけでした。外部講師による研修は数年ぶりということもあり、最初は少し緊張感のある雰囲気も漂っていました。

 

しかし、社内での取り組みに限界を感じていたこともあり、経営者の方も「今回ばかりは一度任せてみよう」という思いたったようでした。

 

実際に研修を進めていくと、受講者の表情に徐々に変化が見られるようになりました。問いかけに対する反応が鋭くなり、自分ごととして物事を考え始める姿勢が明らかに見て取れました。

 

そして、研修後には、マインドセットの変化から生まれた具体的な行動の変容が、あちらこちらで報告されるようになったのです。

 

研修終了後、経営者から冒頭の言葉をいただいたのはそのときでした。これまで自社で積み重ねてきた努力があったからこそ、外部の力との「違い」が、より鮮明に感じられたのだと…。南澤も、そこに気づいていただけたことが、何よりも嬉しい瞬間でした。

 

「違いがわかる」ということは、実はとても貴重なことです。それは、単に外部を受け入れたからというよりも、過去に試行錯誤をしてきたからこそ、目の前の変化を的確に捉えられたということです。経験があるからこそ、気づける「凄さ」があるのです。

 

これは「研修」に限った話ではありません。むしろ、より分かりにくいのが「コンサルティング」という領域かもしれません。

 

私は「全員参加底上げ型機動的店舗経営®」という独自のコンサルティングを推進していますが、実際にこの言葉を聞いてすぐに内容をイメージできる方はほとんどいません。

 

多くの経営者の方が、「研修はなんとなく分かるけれど、コンサルティングって何をするのか分かりづらい」とおっしゃいます。

 

実際その通りだと南澤も考えています。研修は一度受ければ、その場で雰囲気も内容も伝わります。しかし、コンサルティングはプロジェクト型で進行し、成果が出るまでに一定の時間がかかることもあり、「体験するまで価値がわからない」という側面があります。

 

研修が“点”での気づきをもたらすものだとすれば、コンサルティングは“線”での変化と成長を導くものです。

 

だからこそ、南澤は「まずは知ってもらう」ことを大切にしています。当社では、研修やセミナーを通じて、コンサルティングの入り口を体験していただく機会を用意しています。

 

体系化されたプログラムや具体的な事例を交えながら、何を、どのように進めていくのかを明示しているのはそのためです。

 

ある意味、コンサルティングの凄さというのは、「受けた後に初めて実感できる凄さ」なのかもしれません。

 

当社が提供しているのは、知識やノウハウだけではなく、新しく取り入れた「仕組み」によって現場が変わる実感です。

 

売上が上がる、チームが活性化する、人が辞めなくなる―――そうした成果が表れて初めて、「ああ、こういうことだったのか」と腹落ちするのです。

 

こうした変化には、“準備してきた者だけが気づける”という前提があります。古典『論語』にはこうあります。

 

「学びて時にこれを習う、また説(よろこ)ばしからずや」

これは、「学んだことを、時々復習することは、何と喜ばしいことではないか」という意味です。

 

学んでおかなければ、それが生きる場面が訪れても、気づくことさえできません。つまり、“知っているからこそ、わかる凄さ”とは、事前の積み重ねがあるからこそ味わえる感動なのです。

 

だからこそ南澤は、研修でもセミナーでも、単なる“気づき”ではなく、“行動の変化”につながるアプローチを心がけています。それは、受講された方々が、「知ったからこそわかる」ようになる瞬間を一つでも多くつくりたいからです。

 

「知っているからこそ、わかる凄さ」―――これは裏を返せば、知らないままでいたら一生気づけないということでもあります。

 

あなたの会社では、どれだけの「凄さ」が埋もれたままになっているでしょうか?そして、それを知るきっかけは、すぐ目の前にあるかもしれません。

著:南澤博史