第26話:「失敗を活かす」考え方と行動

 

「南澤さん、なんで同じ失敗を繰り返すのですかね?」これは、ご支援をしている印刷・製本業を営んでいる経営者のひと言でした。

 

なんでも、従業員が作業工程で失敗をした時に、懇切丁寧に「こうするんだよ」と教えても、ひと月、ふた月後にまた同じ失敗を繰り返す、とのことでした。

 

かくゆう私も営業時代にさまざまな失敗を繰り広げました。時には、お客様だけでなく、同僚、上司…さまざまな方にご迷惑をおかけしました。

 

例えば、「既に生産が終了している車の注文を頂いてしまった」という、青ざめるような経験をした自動車営業スタッフは、実は数え切れないほどいるはずです。

 

そのような場合、お客様に謝罪し、次期のモデルを購入して頂くなどの対応を行うことになりますが、お客様にご迷惑をおかけすることには変わりありません。場合によってはかなり困難な状況になります。

 

そんな経験を一度すると、同じことを繰り返さないように事前に確認するようになります。また、同じ失敗をしないように、情報にも敏感になります。そのように、失敗を次に活かしていました。

 

他にも、今なら起こり得るはずもないような、昔のアナログの時代だから起きたこと、今でも当然に起きること、大小、さまざまなかたちで「やらかし」ていました。特に、何か新しいことをする場合、新しい商品を売る場合などそのような失敗は得てして起きます。

 

出来れば避けたい失敗ですが、どんなに注意していても起きてしまいます。そして、失敗をする、つまり「痛い目」に合うことで、それを教訓として成長の糧としました。

 

特に、会社に多大な損失を与えるような「大きな失敗」をした時は、正直へこみます。反省はしなければなりませんが、いつまでもクヨクヨして、その後の業務に支障が出ては元も子もありません。

 

反省はもちろんしますが、大事なことは、「二度と同じ過ちを繰り返さないこと」です。私自身は、「同じこと過ちを繰り返さない」ということを常に心がけていました。

 

誤解を恐れずにあえて言うなら、「二度と同じ失敗を繰り返さなければ、何もかも失敗し尽くせば良い」というある意味開き直りとも言える考え方さえ持っていました。もちろん、失敗をしないために慎重に考えて行動することを怠っていたわけではありません。

 

そして、そのような考えがあったからこそ、積極的な営業活動や、新しいことに大胆に取り組む行動が可能となり、実際に失敗が起きた時に、反省し、同じことを繰り返さないように日々の業務を工夫して取り組むことで、成長することができました。

 

営業という仕事に限らず、失敗をした時に、失敗を活かすことができる人、残念ながら失敗を活かすことが出来ずに同じ過ちを繰り返す人、概ね二パターンに分けられます。

 

失敗を活かすことができる人は、反省し、同じ失敗を繰り返さないために、対策を練り、業務の工夫をするなど何かしらの行動をします。

 

失敗を次に活かすステップは、①反省して学ぶ②次に向けて改善、実行する③継続する、が大まかな流れです。失敗を活かすことができる人は、このサイクルができています。

 

一方で失敗を活かすことができない人は、反省はしながらも、次につなげる前向きな考え方ができません。「なんて自分はダメなんだ…」と失敗をするたびに、自己肯定感が下がっていきます。そのため、前向きな行動をとることができません。

 

失敗は避けられないものであり、重要なのはそれから何を学び、どう前進するかです。また、失敗を恐れずに新しいことに挑戦し続ける勇気を持つことが大事です。

 

失敗しても、「今回は失敗したけど、同じことをやらないようにこれからもっと頑張ろう、お客様、上司、同僚等の信頼を回復しよう!」と考えることができる人は総じて回復力が早く、失敗を次に活かすことができます。

 

最近では、このような回復力は「レジリエンス」と呼ばれていますが、失敗から強くなるために個人の内面的な強さを育成する仕組みが必要とされています。

 

そして、失敗を次に活かすことができるのであれば、「失敗を重ねる分、それだけ成長も早くなる」とも考えられます。

 

ただし、ここが重要なところですが、実際のマネジメントにおいて、管理者や上司の立場から部下に対してあれこれ指示命令した上で「失敗を多く体験させて成長させたい」は大きな間違いです。営業以外の仕事でも当然同じです。

 

なぜなら、部下にとってはやらされ感で行って失敗した仕事は管理者や上司の責任だと思うからです。自ら進んでやる仕事、自ら新しいことや困難に挑戦し、失敗するから学べるのであって、管理者や上司から命令された、やらされ感の強い仕事の失敗からは何も学べません。

 

自ら進んでやりたい仕事、やりがいのある仕事を行う上での失敗が成長につながるのです。

 

そのため、自ら進んで行うように動機づけることは大前提として必要になります。また、特に難しい仕事や困難な仕事を任せるなら、仕事の意義や価値、根拠を理解させることが重要になります。

 

そのような難しい仕事や困難な仕事を任せる場合には、適切なサポートによって成功に導いていく必要もあります。管理者や上司の適切な対応によって、結果的に自発的な人材を育成し、働きやすい環境をつくることができます。

 

また、そのような環境をつくるためには、失敗を共有する仕組みも必要であり、仕組みが機能するためには、失敗を許容する組織風土・文化が必要であると、店舗経営コンサルタントの私は考えます。

 

最近では、「心理的安全性」が言われるようになり、リーダーシップがどのように心理的安全性を確保し、促進するかが重要であるとされています。

 

このように、失敗をした時に次につなげる前向きな考え方ができるかどうかは、個人の資質だけでなく、組織・チームの風土・文化と密接に関係しています。特に、経営者や店舗経営者の考え方と行動がここでは大きく影響します。トップの考え方次第で大きく結果は異なります。

 

そのため、組織のリーダーがいかにオープンなコミュニケーションを促進し、失敗に対する非難の文化を避けるかが重要です。

 

そして、失敗を恐れずに取り組む組織風土・文化は、意図的に醸成することが可能です。さまざまな施策や仕組みによってそのような組織風土・文化を変えることができます。

 

失敗を受け入れ、それを成長の機会とする文化を構築するために、貴社が取り組んでいる具体的な戦略は何ですか?そのような風土・文化を醸成する仕組みがありますか?

 

 

メールマガジン— 購読無料 —

コラム更新情報のほか、各種ご案内などを
お届けしています。ぜひご登録ください。