第15話:優れた商品知識の落とし穴

 

「南澤さん、商品知識は重要ですから、新人からベテランまでとにかく一定レベルを保つような教育が必要ですよね?」これは、ある自動車販売店の社長の一言です。

 

確かに、商品知識は営業における基本中の基本です。最低限の商品知識がなければ、商談は成立しません。しかし、ただ知識があるだけでは不十分です。重要なのは、その知識を「顧客が求める情報」として適切に提供することです。

 

「顧客が求める情報を提供する」ということは、理論上は簡単ですが、実際には多くの営業スタッフが自分の知っている情報を一方的に伝えがちです。これでは、顧客のニーズとは必ずしも一致しません。顧客が関心を持っていない情報を提供しても、無意味なものになり得ます。

 

問題は、顧客が関心を持っていない情報を提供することにあります。高い商品知識は時に、過剰情報を生み、顧客を混乱させるかもしれません。ここで重要なのは、高い商品知識が諸刃の剣となり得るという認識です。

 

顧客が興味を持たないことを熱心に伝えても、それが顧客の心に響かない場合があります。要するに、「顧客が関心を持たないことについて、無駄に多く語ることは全くの無駄」というわけです。

 

営業においては、まず顧客の関心を引きだし、それに基づいて情報を提供するのが理想的です。顧客が何に興味を持っているのかを理解し、その上で関連する情報を選択して提供することが重要です。

 

顧客が望む情報を的確に伝える能力が、営業成功の鍵です。顧客の関心を引き出し、それに合わせて情報を提供することが、効率的な商談に不可欠です。

 

情報の提供は、顧客が関心を持つ分野にフォーカスし、それに基づいて行うべきです。このアプローチは、顧客の関心を引き、より深い関係を築く助けとなります。

 

また、商談時間を無駄に長くしてしまう原因の一つは、顧客が求めていない情報を過剰に伝えることです。簡潔かつ的確に必要な情報を伝え、顧客の関心に合わせて情報を提供することが、効率的な営業活動の鍵です。

 

インターネットの普及により、顧客が簡単に情報を手に入れられる時代でも、売り手と買い手の間には依然として情報の非対称性が存在します。売り手が持つ莫大な情報量を適切に顧客に伝えることが、営業の質を高める要素です。

 

顧客のニーズや関心を理解するには、顧客の話を傾聴し、その中で重要なポイントを見極めるスキルが不可欠です。商品説明をするだけではなく、顧客がどのような価値求めているかを捉えることが大切です。

 

こうした基本的なことを理解すれば、商品説明から入る営業の非効率さが明らかです。しかし、多くの現場では、顧客が望む情報を把握することが怠られがちです。

 

現場で起こる課題の一つは、顧客が望む情報を把握せずに、自己中心的な情報提供に終始することです。営業スタッフは、顧客の話に耳を傾け、「聴く」スキルを高めることで、顧客の真のニーズに応えることが可能になります。

 

たくさん持っている情報の中で「何を提供するか」と常に考えて、顧客の要望を知る必要があります。営業スタッフには「話す」スキルに加え、「聴く」スキルの重要性も理解する必要があります。このバランスが、「話すが3割、聴くが7割」と言われる所以です。

 

手持ちの情報量や質を高めることは確かに重要ですが、それを顧客の要求に応じた形で提供する能力がさらに重要です。正しく提供できなければ、顧客の要求に応えることはできず、顧客満足度を向上させることもできません。情報を持つことと、それを適切に顧客に伝えることは、異なるスキルセットを要求されます。

 

知識が豊富であればあるほど、何をどのように提供するかのスキルが重要となります。知識が限られていれば、提供すべき情報について悩む必要もありません。

 

このように優れた商品知識は、適切に活用することが重要です。顧客中心のアプローチは、単なる知識提供以上の価値を生み出し、営業活動に新たな次元を加えます。

 

貴社では、顧客中心のアプローチをどのように取り入れていますか?顧客のニーズを理解し、それに応える情報提供を行うためにどのような戦略を取っていますか?