第14話:新人営業が売れる理由

 

「南澤さん、ベテラン営業が新人に負けるなんて、一体どういうことでしょうか?」―――これは、とあるカーディーラーの営業部長の疑問です。多くの業種・業界で見られるこの現象には、特有の理由があります。

 

また、2~3年経つ頃には新人営業のピークが終わりそれなりの成績におさまっていきます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

 

新人営業の成功の背景には、複数の要因が絡み合っています。まず、顧客との新鮮な関係構築があります。新人営業は、まっさらな状態から顧客との関係を築き始めます。これが大きなアドバンテージとなり得ます。

 

そして、未経験であるがために、固定観念が形成されていない新人営業は、自由に新しいアイデアやアプローチを試みることができます。ベテラン営業は長年の経験から「これが正しい」という方法論に固執する傾向がありますが、新人営業はその枠に縛られません。

 

さらに、新人営業は「失敗を恐れない」姿勢を持ち、大胆な行動に出やすい環境にあります。失敗しても「まだ新人だから」というフォローがあるため、大胆な行動に出やすい環境が作られます。こうした新人営業の特性は、顧客にも好印象を与えます。

 

そして、最も顕著なのは、新人営業の熱意や一生懸命さは、顧客に伝わりやすく、好感を持たれる要因となることです。特に、商談やプレゼンテーションでの情熱は、顧客に強く印象づけることができます。熱意とそれなりの商品知識で簡単に成果が出ます。

 

それに伴い、最も重要なことは、そもそも営業担当者に対する「新人だから」という理由で「顧客の期待値が低く設定される」ことです。新人営業にとっては大きな利点となります。ここは極めて重要です。

 

「新人だから、新人の割には」という見方により、期待値が低くなり、それなりのパフォーマンスでも期待を大きく上回ることができます。

 

そのため、実際にはベテランスタッフほどのパフォーマンスを発揮しているわけでもないのにベテランスタッフを凌ぐ成果を上げてしまう現象が起こるわけです。

 

このことを理解しない上司に「新人を見習え」といったわけもわからない𠮟咤激励を受けたスタッフの数は計り知れないのではないでしょうか?

 

この「新人」というブランドを活かせば、熱意と多少の商品知識で比較的簡単に売れますが、残念ながら「新人」というブランドには賞味期限があります。

 

初期の成功が続くと、自然と周りの期待値も上がり、それに伴いプレッシャーも増します。その対処が適切にできないと、残念ながら新人営業のパフォーマンスも徐々に落ち着いていきます。

 

また、2~3年経つと新鮮さが失われ、顧客も新人営業に対してより高い期待を持つようになります。その高まった期待に応えられないために普通の成績に収まっていくわけです。

 

そして、成果が下がると、熱意も下がるというスパイラルを繰り返す悪循環に入ります。その結果、せっかく育成したにもかかわらず、優秀だと思っていた新人の離職につながってしまいます。

 

この点において、新人営業が続けて成功するためには、初期の成功に満足せず、常に学び成長し続ける姿勢が求められます。初期の成功を基盤に、スキルや経験を積み重ね、さらに高いレベルでのパフォーマンスを目指す必要があります。

 

特にキャリア3年目は大きな転換期であり、この時期に適切なギアチェンジができるかが、その後の成果に大きく影響します。私自身も3年目、5年目、10年目の重要な節目でギアチェンジできたことが、その後の成長に大きくつながったと思っています。

 

新人営業の賞味期限が切れる前にやるべきことを具体的にあげるなら、専門知識を向上させたり、顧客理解を深めたり、「新人ブランド」以外の自己ブランディング等を試みることです。

 

これらを自発的に取り組むように仕向けるには、待遇面などの外発的動機づけでは不足であり、本人が進んで取り組みたいと思えるようなモチベーションを向上させる内発的な動機づけが必要になります。

 

また、会社全体としての適切な指導やサポートも重要です。これには、定期的なトレーニング、フィードバックの提供、キャリアパスの明確化が含まれます。新人の育成は、会社の未来を形成する重要な投資です。そのような取り組みは、意図的かつ計画的に行わなければなりません。

 

このように、「新人」というブランドの賞味期限が切れる前にやるべきことが実に多いことがわかるかと思います。貴社では新人営業をどのようにサポートしていますか?新人営業の成長を支えるための体制が整っていますか?