
「南澤さん、全国的に暑くなっているのはわかりますが、なんで最近急にクマが人を襲うようになったんですかね…」ーーーこれは、コンサルティング後にクライアントの経営者と一杯やっていた時の言葉です。
全国的に同時多発的に始まったこの現象。東京都内でもクマが出るというニュースが流れ、登山を控える人も出てきています。
初めは「遠い地域の出来事」だと思っていた人も、範囲が広がるにつれて、次第に他人事ではなくなってきたのではないでしょうか。
こうした突然の行動の変化で思い出すのが「百匹目の猿現象」です。1950年代、宮崎県・幸島で観察された“イモ洗い”の行動が由来とされています。
ライアル・ワトソンが著書『生命潮流』で「百匹目の猿」という表現を用い、さらに船井総合研究所の創業者・船井幸雄氏が『百匹目の猿』で広めたことで一気に知られるようになりました。
ワトソンは、幸島で始まったイモ洗いの行動が、大分県の高崎山など物理的に離れた場所の猿たちにまで広がったことから、「ある臨界点を超えると行動が飛び火する」と考えました。
その臨界点を便宜的に“百匹目”と表現したのです。
もっとも、ワトソン自身が「即興で創作する」と述べているように、脚色も含まれています。にわかに信じがたい現象をわかりやすく伝えるために創作を交えたのです。
ただし「全てが虚構」というわけではありません。背景にある「シェルドレイクの仮説」は完全に否定できないと南澤は考えています。
シェルドレイクは「今ある形は過去に存在した形の影響を受ける」とし、それを「形の場」「形の共鳴」と呼びました。
この仮説によれば、生物の行動や学習、人間の文化や社会現象にまで共鳴は及ぶとされています。喰代栄一氏の著書『なぜそれは起こるのか』でも詳しく論じられています。
実際に南澤自身も、会社員時代に「良い」と思って始めた取り組みが店舗全体に広がり、やがて他店舗にまで自然と伝わっていく様子を何度も体験しました。まさに「百匹目の猿現象」と呼べる現象です。
これを店舗経営に当てはめるなら、ある地域で圧倒的な支持を得れば、その影響が別地域に波及し、市場占有率を広げることが可能です。
これは「まずは勝てる地域に絞り、そこから広げる」というランチェスター戦略とも重なります。いきなり大市場を狙うのではなく、特定の地域や顧客層に集中する方が確実に成果を出しやすいのです。
ここで欠かせないのが「顧客増加の仕組みづくり」です。単発的に顧客が増えるのではなく、再現性をもって増え続ける仕組みがあるかどうか。
例えば、既存顧客からの紹介を自然に促す仕掛け、来店後の丁寧なフォロー体制、イベントや情報発信による継続的な接点づくり。これらを店舗全体の仕組みとして動かすことで、担当者に依存しない安定した成長が実現します。
南澤が見てきた現場でも、仕組みを持たない店舗は担当者の異動や退職とともに顧客数が減少しました。
一方、仕組みを整えている店舗は、誰が担当しても成果が出せるため、顧客が右肩上がりで増え続けていました。まさに「百匹目の猿現象」のように、一度広がった行動が止まらずに波及していくのです。
現代はインターネットやSNSによって情報が一瞬で拡散します。その意味では「シェルドレイクの仮説」の存在感は薄れたように見えます。
しかし、仮にこの理論が存在すると想定して戦略に応用した方が、勝つ確率は高まると南澤は考えています。そして、その土台に「顧客増加の仕組み」を重ね合わせることが、持続的な成長に欠かせない条件です。
―――貴社は、顧客を増やし、市場を押さえるためにどのような戦略を立てていますか?その仕組みは整っていますか?
ここから話を広げます。船井幸雄氏は「百人の人が意識を変え、知恵をもち、行動すれば日本や世界を変えられる」と語り、その根拠として「百匹目の猿現象」を紹介しました。
では、冒頭の「クマが人を襲う行動」に戻りましょう。人間から見れば明らかに「悪」とされる行動ですが、果たして地球規模で見ても「悪」なのでしょうか。むしろ「人間に対する警告」なのかもしれません。
南澤が懸念するのは、この現象がさらに拡大し、クマだけでなく他の動物や生物までもが人を襲うようになってしまうことです。
考えるだけで背筋が寒くなります。そして、これは生物に限った話ではありません。映画『ターミネーター』に描かれたように、AIが人間に牙を剥く未来も否定はできません。
経営においても社会全体においても、臨界点を超えた瞬間に一気に変化が広がることがあります。
その現象をどう捉え、どう活かすかが鍵です。私たちは、自らの行動が周囲にどんな影響を与えるのか、そしてその影響がどこまで波及するのかを常に意識し続ける必要があるのです。
著:南澤博史
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