第76話:「改善」と「進化」の要件とは?

 

「南澤さん、改善を重ねた結果、今の商品がありますが、改善の手を緩めることは考えていません…」ーーーこれは、とある地方都市でニッチな製品を製造する経営者の一言でした。

 

もともと、弱小メーカーとして僅かなシェアをなんとか獲得していた程度の企業でしたが、製品の改良を重ねた結果、市場で評価されるようになっていきました。

 

今ではこの企業は、ニッチな商品ですがかなりのシェアを獲得しています。しかしながら、この経営者は改善の手を緩めるつもりはないようです。改善の手を緩めることは、すなわち企業の衰退を意味するからです。

 

改善の継続が企業の成長を支える

この企業では、経営方針や戦略に則ったアクションプランに沿って、社員一人一人が、確実にやるべきことを主体的に実行しています。

 

さらに、指示の出しっぱなしや、放置も少なくない企業もある中で、その進捗管理も実に徹底されています。

 

具体的に「やるべきこと」が見えているだけでなく、「やったこと」が見える仕組みを構築しているところが優れた点と言えます。

 

個人の実行状況だけでなく、上司や管理職のマネジメントが効いているのです。このような企業では、「改善」や「進化」がうまく続いていきます。

 

「改善」と「進化」の違いとは?

「改善」とは、既存の仕組みや商品、サービスをより良いものにしていくことを指します。一方で「進化」は、単なる改善の積み重ねではなく、より大きな変化を伴うものです。

 

市場や顧客のニーズが変化する中で、改善を超えて事業の方向性そのものを適応させることが「進化」にあたります。

 

例えば、カゴメはトマトジュースの改良を続けることで売上を伸ばしてきましたが、市場競争が激化する中、健康志向の商品ラインとして「低塩トマトジュース」や「機能性表示食品」を展開しました。

 

これが「進化」です。ただの味の改良ではなく、顧客のライフスタイルの変化に適応し、新たな市場を開拓することに成功したのです。

 

さらに、進化には市場の先を読む力も必要です。今のニーズに対応するだけでなく、次のトレンドを予測し、企業としての方向性を調整することが求められます。

 

実行・実践されなければ意味がない

よくありがちなパターンでは、計画や施策ばかり立派に見えて、実は、まったく実行や実践がされないといった問題です。「やらない」、もしくは「やったことがある」程度の実行度合いです。

 

実行や実践が確実に実行されている状態というのは、それらが「徹底」されている状態のことを指します。「やったことがある」程度とは、まったく似て非なるものです。

 

これは、個人レベルでも同じです。例えば、「売れ続ける営業」と「一時的に売れる営業」の大きな違いは、やったことがある人と、やり続けている人の違いと言えます。

 

さらに言うなら、たとえやり続けていても、何も改善しなければ残念ながら個人にとって大きな成長や発展はありません。

 

売れ続ける営業は、やったことがあるレベルで終わることなく、愚直に続けながら改善をしていきます。そのため成長も著しいのです。

 

組織やチーム単位でも同じことが起こります。成果を出し続けるためには、愚直に「実行」「実践」が行なわれる必要があります。

 

改善が進化へとつながる仕組みを作る

実行や実践が徹底されるためには、方針や戦略、やるべきことの「意義」を一人一人に理解させる必要があります。それは、経営者、上司、管理職の大きな責任です。

 

意義を理解させた後は、実行段階での進捗管理が不可欠です。指示の出しっぱなしで何もしなければそれはただの放置です。一人一人が実行を続けるためには、店舗経営者や管理職がマネジメントする必要があります。

 

また、成功する企業は「改善」だけでなく「進化」の視点を持っています。顧客の変化、市場の変動に適応し、新たな価値を生み出し続ける企業こそが生き残ります。

 

進化のためには、組織全体が学び続ける文化を醸成することが欠かせません。成功体験に甘んじることなく、現場の意見を吸い上げ、新たな挑戦を繰り返す姿勢が求められます。

 

さらに、進化を妨げる要因として、組織の硬直性やリスク回避の姿勢が挙げられます。変化に対して慎重すぎる文化は、場合によっては企業の成長を阻害する要因にもなり得ます。そのため、適切なリスク管理のもとで新たな挑戦を許容する環境を作ることが不可欠です。

 

持続的な成長のために

持続的な発展や成長のためには、チームだけでなく個人がアクションプランを作成し、改善や進化を続ける仕組みが重要です。

 

改善と進化を繰り返すことで、企業は市場において優位性を保ち続けることができます。

 

貴社では、経営方針に基づき戦略を立案し、チーム、個人がアクションプランを作成していますか?そのような仕組みがありますか?

 

今一度、自社の仕組みを見直し、改善を超えて進化するための要件を整えてみてはいかがでしょうか?