第73話:「時間は有限」を理解することによる変化

  

「南澤さん、年初に目標を立てておきながら、何も進めることができていないスタッフがいるのですが…」ーーーこれは、クライアント先である自動車販売店の経営者の一言でした。

 

なぜ目標を立てても、それを実行に移せる人とそうでない人がいるのでしょうか?この課題は、仕事だけでなく、日常生活にも共通する重要なテーマです。

 

目標を立てるだけでは、何かが実行されるわけではありません。重要なのは、具体的なアクションを立て、それを着実に実行することです。これが、企業や個人の成功を左右する重要なポイントとなります。

 

アクションプランを支える「時間は有限」の意識

具体的なアクションプランを実行する際には、進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて軌道修正を加えることが欠かせません。こうしたプロセスを着実に進める人は、短期的にも長期的にも確実に成果を上げます。

 

しかし、同じようなプランを立てていても、なかなか行動に移せない人がいるのはなぜでしょうか?

 

さまざまな要因が考えられますが、最も大きな理由の一つが、「時間に対する意識の低さ」です。多くの場合、「時間は有限」であるという本質を理解できていないことが、行動を妨げる要因となっています。

 

例えば、今日できることを「明日やればいい」と後回しにするケースです。しかし、明日やろうと思っても、緊急の仕事が割り込めば当然、予定していたことは実行されません。重要なことほど先送りにされ、成果を出せないサイクルに陥ってしまうのです。

 

働き方改革が進んだ現代において、全てを今日中に終わらせる必要はないかもしれません。しかし、緊急性が低くても重要なことは、可能な限りその日のうちに取り組むべきです。

 

「時間は有限」であることを理解し、その日のうちに重要なことに取り組む意識を持つことが、成果を出し続ける人とそうでない人の分かれ道となります。

 

「時間は有限」を理解する人の特徴

「時間は有限」を理解している人は、たとえ緊急性が低い仕事であっても、時間を工夫して捻出し、重要な仕事を着実に進めます。

 

一方で、この意識が低い人は、緊急性が高まらない限り行動に移しません。この違いは、短期的には成果の差となり、長期的にはキャリアに大きな影響を与えます。

 

また、この意識は仕事だけでなく、プライベートの過ごし方にも現れます。「時間は有限」を理解している人は、学びや情報収集の時間を積極的に作り出し、それを自分の成長に繋げています。

 

例えば、読書やスキル習得に時間を使うことで、仕事に還元できる知識やアイデアを得ることができます。

 

経験が教えてくれた「時間は有限」の本質

私自身も20代の頃、ある出来事をきっかけに「時間は有限」であることを、身をもって知りました。それ以来、時間を惜しんで「学び」、一生懸命に「働く」ことを意識するようになりました。

 

明日が今日と同じように訪れるとは限らない…この意識を持つことで、私の行動は大きく変わりました。時間を大切に使うことで、より良い成果を上げるだけでなく、プライベートの充実感も得ることができるのです。

 

若いスタッフと管理職における「時間は有限」の課題

特に若いスタッフは、「時間はいくらでもある」と思いがちです。しかし、緊急性の低いタスクを後回しにする習慣は、納期直前の慌てた対応を招き、長期的にはストレスや成果の低下につながります。

 

また、この意識の欠如は管理職にも大きな影響を与えます。「時間は有限」の意識が低い管理職は、目の前の仕事に追われ、大事な部下育成や計画立案を疎かにしがちです。その結果、部下の成長を見過ごし、組織全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。

 

一方で、優秀な管理職やマネージャーは、緊急性がなくても重要な仕事を計画的に進めます。部下育成に時間をかけ、的確なフィードバックを提供する姿勢が、組織全体の成長を支えるのです。

 

私自身も、きっかけとなる出来事が起こらなければそのような意識は身につかなかったかもしれません。私は、自分の経験を自分事としてとらえてもらえるように部下育成の際には伝えていました。

 

同様に研修の際には、管理職であろうが、一般の営業職であろうが、「時間は有限」を一生懸命にお伝えするようにしています。

 

「時間は有限」を理解し、行動に活かす仕組みを整える

「時間は有限」を理解することも重要ですが、実は部下育成に時間をかけることを実現することについては、さまざまな仕組みによって解決することができます。具体的には、管理職が部下との面談やフィードバックの時間を定期的に実施する仕組みなどがあげられます。

 

貴社では、「時間は有限」を理解し、それを行動に活かす意識や仕組みがどれほど整っていますか?

 

具体的な仕組みを取り入れることで、スタッフや管理職の生産性を向上させ、組織全体の成果を最大化することが可能です。 この機会に、スタッフや管理職の時間の使い方を見直し、成果を最大化するための環境づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。