第65話:ものの見方や考え方を変える方法

 

「南澤さん、売れない営業スタッフが突然売れるようになることはありますか?」ーーーこれは、保険業界の管理職研修で、ある営業部の管理職からいただいた質問です。この問いは、営業の本質を考える上で非常に興味深いものです。

 

実際、私自身も売上が伸び悩んだ時期に、ある日を境に突然売れ始めるようになった経験があります。売上ゼロに近い状態から、次の月にはトップの成績を上げるようなことが営業の世界では確かに起こります。

 

もちろん、製品が改良や市場環境の変化がきっかけで売れるようになるケースもあります。ただし、それは多くの場合、他のスタッフにも影響を与えるため、特定の人だけが突然売れる理由にはなりません。では、なぜ特定の人だけが突然成果を出せるようになったのでしょうか?

 

一般的には、「石の上にも三年」というように、努力が積み重なって成果が現れたと解釈されることが多いです。それが偶然、あるタイミングで成果として表れることもあります。

 

もちろん、それも否定できませんが、私の経験では、それだけでは説明しきれないと考えます。つまり、その背景には、「ものの見方や考え方」の劇的な変化があるのです。

 

有名なエピソードである「靴を売る人の話」では、南の島に靴を売りに行ったところ、現地の人は誰も靴を履いていませんでした。

 

一人の営業スタッフは「ここでは靴は売れない」と考えましたが、もう一人は「ここには無限の可能性があり売れる」と考えました。考え方次第で行動と結果が大きく異なるということを端的に示しています。

 

これは単なるポジティブ思考の話ではなく、見方を変えることで行動全体が変化し、成果に繋がるという営業の本質を示しています。同じ状況でも、ものの見方一つで結果が変わるのは、営業だけでなく多くの場面に当てはまります。

 

突然売れ始める場合、何か一つの行動が変わったというよりも、「ものの見方や考え方」が変化したことで、あらゆる行動に変化が起きている可能性が高いのです。

 

実際に、私自身も「ある出来事」をきっかけに「ものの見方や考え方」が変わり、行動が変わったことで成果が出るようになった経験があります。

 

もちろん、私だけに限らず、部下指導の中でもそのようなスタッフをこれまで多く見てきました。売れない考え方を売れる考え方に変えることができれば、努力が報われるスピードが一気に加速するのです。

 

そのため、意図的に「ものの見方や考え方」を変えることが必要であることがわかるのではないでしょうか。ものの見方や考え方を変えることで、成果が出せるのです。

 

このような「ものの見方や考え方」を意図的に変える方法の一つに、心理学でいう「リフレーミング」があります。これは、物事を異なる視点で捉え直すことで、新たな可能性を引き出す方法です。

 

例えば、部下が成果を出せない理由を「努力不足」と片付けるのではなく、「新しい環境に適応する時間が必要」と捉えることで、指導の仕方が変わります。この結果、部下は自分を否定されるのではなく、成長のサポートを受けていると感じ、行動が改善されるのです。

 

私自身は、部下指導の中で、「ものの見方や考え方」を変えるということに重きを置いていました。多くのスタッフは、「売れないものの見方や考え方」を「売れるものの見方や考え方」に変えることで成果を出していったのです。

 

「ものの見方や考え方」を変えるには、管理職自身の行動が重要です。そのため、日々の指導の中で、正しい「ものの見方や考え方」を見せるようにしていました。例えば、「何か事が起きた時に他人のせいにしない」という姿勢を見せ続けることで、部下も自然と同じ行動を取るようになります。

 

そのような「管理職としてのあり方」によって、スタッフ一人一人の「ものの見方や考え方」に変化が起きていきます。一方的に指導するだけでは、うまくいきません。自らが見本となることで、スタッフに無理なく正しい見方や考え方を浸透させることができます。

 

さらに、「ものの見方や考え方」を変える仕組みを導入することで、チーム全体の成果を引き上げることが可能です。一つ一つの行動を指導しながら変えるよりも、効率良く成果を出すことができます。

 

そのような仕組みを導入することで、全員が正しい「ものの見方や考え方」を無理なく身につけていくことができるのです。「ものの見方や考え方を変えること」は、単なる指導よりも効果的で、組織全体の成果に直結します。

 

貴社では、「ものの見方や考え方」を意図的に変える仕組みを導入していますか?もしまだであれば、どのように実現するかを検討する良いタイミングかもしれません。

 

「ものの見方や考え方を変えること」は、個人の成長を促すだけでなく、組織全体の成果を飛躍的に向上させます。ぜひ、一度その可能性を考えてみてはいかがでしょうか?