「南澤さん、いまだに訪問が多い営業スタッフがいるのですが、どうにかならないものでしょうか？」ーーーこれは、とある自動車販売店の店舗経営者の一言でした。
かつては、訪問販売が当たり前だった自動車販売店、カーディーラーにおいても、今では来店型の販売形態が主流となりました。
多くの地域の店舗では、来店型の販売がスタンダードとなっています。私自身、店長になった頃は、訪問型の店舗から来店型に大きく舵を切り移行する時期と重なりました。
私が自動車営業を始めた頃は、来店で売れることは実に少なく、ほとんどが訪問販売による実績でした。そのような理由から、店舗といっても今のようなカーディーラーの店舗ではなく、単なる事務所といった感じでした。車の展示もスペースが限られており、展示できるのはごく僅かの台数でした。
そのため、実績は個人の能力・スキルにかなり依存しており、チームで相乗効果を発揮するような状況ではありませんでした。定期的に足を運び、情報収集と関係性を構築することが重要でした。
私の場合、平成10年代の終わりから20年代にかけて大きく変化する時期となりました。これは、時代の変化、顧客ニーズやライフスタイルの変化によるものでした。
ちょうどその頃、私自身が訪問型の店舗から来店型の店舗へと移ったこともあり、これまでのやり方を大きく変える必要がありました。
それまでは、いかに多く訪問件数を稼ぐかが大事だったのですが、いかに来店者数を増やすかということがより重要となったのです。これは、大きな変化でした。
店舗に来ていただくための、店舗でどのような価値を提供できるかが重要となったのです。くつろげる空間や新しい車の体験などです。
そのため、安易に外出するのではなく、いかに顧客を店舗に呼び込み接客するかが大事になったのです。そのために、さまざまな工夫を重ねました。メーカーを問わず、特に多くのベテラン営業スタッフがこの移行期の営業スタイルの変化に悩んだのでした。
そもそも顧客を店舗に誘引するためには、ハード面とソフト面での魅力度のアップが欠かせません。
ハード面では、広い敷地と駐車場の完備、魅力的なショールームなどが、顧客を誘引する要素になります。思い切った設備投資をすることで、魅力的な店舗にする必要があります。
ちなみに、かつて私がいた店舗では、数台しか車が置けないし、店舗に入りづらい、特に魅力的なものが置いてあるわけでもありませんでした。
ソフト面では、さまざまなおもてなしによる対応が、顧客を誘引する要素になります。お茶やコーヒーなどのサービス、接客などが重要となります。
元気な挨拶によるお出迎えやお見送り、顧客満足度を上げる接客などによって、また店舗に行きたいと顧客が思える対応が必要となります。
このように、ハード面とソフト面の魅力度を上げることで、顧客を誘引することによって、多くの自動車販売店、カーディーラーが訪問型の店舗から来店型へと移行してきました。
そして、いかにリピーターとして何度も足を運んでもらうことが重要なカギを握るようになったのです。そのために、定期フォローやイベント誘致が重要度を増したのでした。特に、顧客を誘引するための「イベント」が、ますます重要な役割を担うようになったのです。
また、接客を分けるなら、個人としての接客と、店舗スタッフ全員によるチームワークでの対応にも分けて考えることができます。
ベテランスタッフにありがちなことは、一担当者として、なんでも一人でやろうとすることです。チームワークを発揮するというよりも個人商店としての活動です。
一定の力を発揮することは可能なのですが、一人での対応は限界があることは皆さん想像がつくのではないでしょうか？そうです。一人では、やはり限界があるのです。
私自身も、セールス時代に移行期になんでもかんでも自分でやろうとした時期がありました。そして、それは結果的に大きな成果には結びつきにくかったのです。
来店型店舗で重要なのは、一個人としての対応だけでなく、店舗スタッフ全員の協力によるおもてなしが重要なのです。
それに気づいてからは、店舗のスタッフ全員で協力して行うという方向に舵を切りました。それが結果的に店舗の大きな誘引力となったのです。
顧客にとって、魅力的に感じる店舗をつくるためには、さまざまな仕組みが必要となります。一体感のある店舗づくりのためには、おもてなしをするスタッフの人材育成が不可欠になります。
当社が推進する「ストック型営業」では、そのような一体感のある店舗づくりに必要な仕組みや仕掛けが体系化されています。
全員が共通の目標を持ち、顧客に一貫したサービスを提供するための仕組みが整えられており、チーム一丸となっておもてなしを提供することで、顧客との長期的な関係が築けるのです。
貴社では、顧客を誘引するためにどんな工夫をしていますか？魅力的な店舗を作り上げ、顧客の心を引き付ける仕組みがありますか？