第42話:営業に必要な忍耐力

  

 「南澤さん、若手社員が入社しても、なかなか夏を乗り切ることができないのです」ーーーこれは、とある製造業の経営者が漏らした言葉でした。

 

工場が建てられてから数十年が経っており、工場内の空調設備が整っていないため、ボイラーの熱で夏場でなくても45度以上の高温状態になります。この過酷な環境で、若手社員がなかなか定着しない問題があるとのことでした。

 

製造業における労働環境は、高温や騒音などの厳しい条件もあります。そして、職場環境の違いにより、要求される忍耐力も異なります。製造業の現場は、空調設備の整ったオフィス環境に比べてはるかに過酷です。

 

このような現場では、単に体力だけでなく、精神的な耐力が求められます。単に「我慢強い」だけでなく、長期にわたる肉体的、精神的困難に耐える能力である「辛抱強さ」、すなわち「忍耐力」が必須となります。

 

私がかつて経験したカーディーラーのサービス工場でも、夏は暑く冬は寒いという厳しい環境でした。スポットクーラーやヒーターなどの対策はされていましたが、ショールームやオフィスとは比べ物にならないくらい厳しい環境でした。

 

工場内の高い温度に加えて、エンジンやマフラーの熱も浴びながら整備作業を進めなければならず、この環境にいかに早く順応できるかどうかが重要でした。

 

このような環境下で働き続けるためには、「忍耐力」が不可欠です。ここで成功を収めるためには、ポジティブなマインドセットが重要です。成し遂げたい目標がなければ、心が折れやすくなってしまいます。

 

そして、営業の現場でも、「忍耐力」は極めて重要となります。営業力を生み出す「継続力」の源泉ともなるべき力です。

 

営業の現場では、日常的に顧客からのさまざまな要望に応える必要があります。時には理不尽な要求に直面することもありますが、その際に感情を抑え、冷静に対応できるかが試されます。

 

短期で解決できる問題もあれば、時にはある程度長い時間がかかる問題も場合によっては発生します。そのような困難な場合に、耐える「忍耐力」が求められます。

 

仏教用語では、六波羅蜜の第三に「忍辱(にんにく)」という言葉があり、修行の大切な徳目の一つとなっています。さまざまな苦難に対して堪え忍んで動揺しないことが求められます。「忍辱」はまさに「忍耐力」です。

 

そして、修行僧のようにいかなくても、日常生活の中で我々は時間をかけて「忍耐力」を鍛えていく必要があります。決して終わりはありません。

 

また、単に耐え続けるだけでは不十分であり、特に近年では、「レジリエンス」、つまり回復力が不可欠です。どれだけ早く挫折から立ち直り、次の行動に移れるかが重要です。

 

このような「回復力」は、正しいマインドセットと適切な育成によって誰でも鍛えることができます。日常生活でもさまざまな工夫をすることで、ストレス耐性や回復力を高めることができます。その「回復力」の早さは、これまで見てきた売れる営業スタッフの共通点でもあります。

 

さらに、営業では成果がすぐに見えないため、地道で継続的な努力が必要です。「石の上にも三年」という言葉は、営業の本質を表す言葉で、地道にコツコツと努力を続けることが求められます。

 

私自身も営業を始めたばかりの頃は、毎日のようにひたすら飛び込み営業をやっていました。結果的に、初めての成果が出るまで数ヵ月を要しましたが、すぐに成果が出ない軒並み訪問を続けるのは、「忍耐力」がなければ続けることができなかったはずです。

 

それは、前向きなマインドセットがあってこその「忍耐力」であり、必ず成果が出ると信じていたからこそ続けることができたのです。このような成功体験が生まれたからこそ、その後も忍耐強く飛び込み営業を続けることができました。

 

このように、いつ成果が出るかわからなくても、地道に活動を続ける「忍耐力」が必要となります。現代において方法は異なっても、地道にコツコツと続けることが営業の世界では必要です。

 

しかしながら、戦略に誤りがある場合は、どんなに頑張っても成果は出ません。そのため、適切な方法で努力を続けることが重要です。

 

また、忍耐力が強い人は、問題を自己解決しようとする傾向があり、結果として成長が早く、中長期的に成果を出しやすいです。

 

しかし、注意しなければならないのは、忍耐力が強い人は悩みをひとりで抱え込んでしまう傾向があり、一歩間違えれば「メンタル不調」に陥るようなリスクがあることです。

 

そのような状況を防ぐためには上司や周りのサポートが欠かせません。さらに、労働環境が厳しい場合などは特に、リーダーシップの役割が非常に重要になります。上司やチームリーダーがいかにしてチームの士気を保ち、忍耐力を支援するかが重要となります。

 

貴社では、一人一人が問題を抱え込まないような組織風土・文化を醸成していますか?そのための仕組みがありますか?

 

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