第31話:スタートダッシュの重要性

 

「南澤さん、今年に入り、順調なスタートを切ることができました。このままいけば今年は過去最高の売上と利益を確保できそうです」―――これは、あるご支援先の社長の一言でした。

 

スタートでつまずくか、良いスタートができるかは、その差は計り知れません。スポーツやレースなどでは、スタートに失敗すると勝つのが難しくなるのは、皆さんご承知の通りです。

 

特に、時間が短いレースでのスタートのつまずきは致命的であり、逆転は極めて困難になります。ビジネスもこれと同じで、初期の成功がその後の成果に大きく影響します。

 

短いレースとは言わずとも、今期最高の売上や収益を狙う企業にとっては、一カ月や二ヶ月のスタートのつまずきは、取り戻すのがかなり大変であり、スタートダッシュはやはり重要となります。

 

例えば、新商品や新サービスでは、徐々に人気が出ることもありますが、開発者側の立場であれば、きっと良いスタートを切りたいと思っているはずです。良いスタートを切るためには、市場への適切なタイミング、顧客のニーズとのマッチング、そして何より準備の徹底が不可欠です。

 

そして、新商品や新サービスを例にとるなら、スタートのつまずきにも大きく分けて二種類あります。準備万端でスタートしたが、市場とマッチせずにつまずくパターン。

 

その後、認知されてスタートの遅れを取り戻すこともあれば、そのまま低空飛行が続く場合も当然あります。しかしながら、準備万端でスタートし、低空飛行が続くのであれば撤退の判断も早くできます。

 

もう一つのパターンは、準備不足でのスタートです。これは絶対に避けなければならない、明らかなリスクです。

 

もし万全の準備で臨んだプロジェクトであれば、初期の障害を乗り越えやすく、早期に目標軌道に乗せることが可能です。準備不足で始めたプロジェクトが困難に直面するのは、避けるべき明らかな道です。

 

個人レベルの話であれば、準備万端にすることができるかどうかで、人生にも大きな影響を与えます。面接や試験の準備はその典型的な例です。

 

それが、企業レベルとなると個人の話だけでは決して済まされません。まったく次元が異なってきます。

 

どんなに良い計画でも、それを確実に実行する組織風土や文化が伴わなければ意味がありません。そのような準備万端にする取り組み自体が、組織の独自の強みとなります。

 

良いスタートを切れるかどうかは、結局のところ、どれだけ用意周到に準備をしていたかに関わっています。しっかりと準備が出来ていなければ、良いスタートが切れるはずはありません。スポーツの世界やレースでも、良いスタートを切るためにどれだけの準備をしているかは想像に難くありません。

 

以前、新宿に新たに店舗を増やしたある居酒屋を利用しましたが、多くの顧客を迎え入れる準備が整っておらず、お酒は出てこない、料理もなかなか出てこないという状況となりました。私たちだけでなく、隣のテーブルも料理が来ていないようで、共にその遅延を談笑することになりました。

 

結局、二時間飲み放題でしたが、料理自体が二時間で出てこなかったので、結果的に三時間飲み放題にはなりましたが(笑)、提供時間が長すぎるため、満足度は決して高くありませんでした。

 

この店では、広告宣伝費もかけてせっかくオープン記念で集客できているにも関わらず、その後のリピーターにつなげることが出来なかったと推測されます。少なくとも、私は余程のことがない限りこのお店にはいきません。

 

仮に、最高の準備が整い、料理やお酒の提供スピード、接客などがしっかりしていれば、多くのリピーターを獲得していたに違いありません。これは実に大きな違いです。

 

新宿という場所なので、その後、つまずきをリカバリーできる可能性も比較的高いと考えられますが、これが一般市街地のお店であれば、悪い口コミが増えて、経営としてはかなり致命的です。

 

多店舗展開しているのであれば、優秀なスタッフをヘルプで出すなどの施策があったと考えられるのですが、このお店では残念ながらそのようなことをしているようには見られませんでした。スタートダッシュのつまずきの代償は高くついたに違いありません。

 

かつて、学生時代で勤めた大手ピザチェーンでは、都心に新店を出すという時に、当時店舗で一番できる先輩が一カ月以上にわたってヘルプに行っていました。そのような仕組みが整っていることが、多店舗展開を成功させているのだと考えます。

 

先ほどの居酒屋では、多店舗展開はしているのですが、そのような仕組みが整っていないため、スタートダッシュにつまずくことになりました。大手のような経営資源がないにしても、何かしらの施策によって準備万端にしておくべきでした。

 

私自身も、自動車の営業時代、準備万端の時、そうでない時、大きな違いを感じました。特に、新型車が発売する時はその準備によってその後の売上に大きな差が出ました。

 

例えば新型車の場合、早期にお客様にお届けすることで得られる生の反応は、次なる商談において非常に有効です。

 

スタートにつまずくと、それが上手くできないため、その後の売上に左右してしまいます。お客様の生の声は、営業戦略にとって非常に重要です。スタートダッシュは、そのためにも不可欠となります。

 

他にも、日々の営業活動など、様々なスタートダッシュがありますが、結局は可能な限り準備万端にすることが大事であることに違いありません。店舗経営コンサルタントとして、そこが重要だと考えます。

 

我々が推進する「ストック型営業」の仕組みの柱となっている「先行受注」は、常にスタートダッシュを切っている状態を作り上げる仕組みです。

 

先行受注を中心とする「ストック型営業」の仕組みを導入することで、意図的に準備万端にする組織風土・文化を醸成することができます。

 

貴社では、スタートダッシュをするための仕組みが整っていますか?そのような組織風土・文化を醸成することができていますか?

 

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