「南澤さん、今回初めて飲食業界に参入するのですが、何か気をつけなければならないことはありますか?初めてなのでやはり色々と不安です」これは、先日伺ったある美容サロンを営む社長からの質問でした。
新たな挑戦に直面する際の不安や期待は、誰しもが経験するところです。特に、異業種からの業界参入は、さらに多くの挑戦と学びを伴います。
このようなケースでは、できる限り情報を収集し、自社の分析、市場、競合、ターゲット顧客等を考え、最終的には、ご自身のこれまでの経験を踏まえて判断していきます。
さらに、新業界への参入は、自社の強みを再発見し、これを活かすチャンスでもあります。例えば、美容サロンが飲食業界に参入する場合、顧客サービスの高い基準や、洗練された店舗デザインの知識など、他の飲食店とは異なる独自の強みを生かすことが可能です。
異業種から飲食業界に参入して成功した事例はいくつかありますが、異なる業界の経験を活かし、飲食業界で独自のアプローチを取ることで成功しています。
例えば、かつてテクノロジー企業の経営者が飲食業界に参入し、デジタル技術やアプリを活用して顧客体験を革新したケースです。この場合、オンラインでの注文システム、デジタルメニュー、顧客管理システムの導入などが成功の要因となりました。今では、これらが当たり前のように浸透してきています。
他にも、不動産会社が飲食業界に参入し、場所選びや店舗設計の専門知識を活かして飲食店を開業し、立地や内装による差別化を図ることで成功を収めました。立地は飲食店においてはかなり重要なファクターであるため、飲食業と不動産業は密接な関係にあると一般的に言われております。
どちらにしても、事前の情報収集が欠かせません。そして、たいてい経営者が判断する大きな局面では、当然ながらかなり慎重に情報収集等を行い、失敗しないよう確実に取り組みます。
このような時、どのように心構えを持ち、どのような戦略で進めるべきかが重要です。これらの「初めて」の体験を成功に導くためには、適切な準備、計画、そして柔軟な思考が必要です。しかしながら、「初めてだから」と失敗しても良いというわけではありません。
実は、営業の現場でも日々新しい局面、新しいものに取り組むことがあります。刻々と状況は変わっていきますので、新しい商品、顧客、販売形態、販売条件等々、数えれば限りがありません。
そのような中、失敗を恐れずに取り組むことは重要になります。決してビビることなく、飛び込む勇気が必要です。例えば、初めて取扱う商品、これまでとまったく違う顧客など、前向きに取り組み必要があります。経営者の立場で言うなら、ファーストペンギンになることです。
一方で、失敗しないように出来る限り情報収集等を行い、取り組むことも求められます。失敗を懼れるがゆえに、それを防ぐため出来る限りの準備を行います。常に出たとこ勝負ではダメということです。ここでは時間的、金銭的等の制約の中で最善を尽くす努力が必要となります。
結論を申し上げると、「勇気」と「臆病」というまったく相反するものを兼ね備えた方が良いと考えます。失敗を恐れずに取り組む勇気と、臆病とも捉えられる慎重すぎるとも言える事前の入念な準備、この二つがなければなりません。どちらか一方では、ダメということです。
例えば、営業の新規開拓では、相手に飛び込んで行く勇気が必要である一方、事前に相手を知ることがとても重要になります。無防備に飛び込むだけでは、成果を出すことができません。
歌手の「さだまさし」さんの曲、「小さな手」をもじるなら、左手に「勇気」、右手に「臆病」を握り続けていれば、「永遠の未来」、「無限の希望」につながるわけです。
ビジネスの現場において、経営者の判断についても同様であり、勇気と慎重さ、このバランスこそが、不確実なビジネス環境において成功を収める鍵です。リスクを最小限に抑え、チャンスを逃さない判断が重要となります。
当社が推進する「ストック型営業」の仕組みでは、自社の分析をしっかりと行っていきながら、新たな仕組みを導入していきます。同時に、新たな仕組みを積極的に推進できる企業風土を目指します。これらの取り組みにより、長期的な顧客関係の構築と、持続可能なビジネス成長を目指しています。
新しいことに取り組む際は、企業文化が重要な役割を果たします。貴社では、事前に入念な準備を行っていますか?新しいことに取り組む企業風土ができていますか?