
「南澤さん、売れる営業スタッフほど、なぜ契約が続けて取れるのでしょうか?」―――これは、複数店舗を展開する自動車販売会社の営業部長との会話の中でいただいた質問です。
営業部長は続けてこう話しました。
「特別優秀というわけではない営業スタッフでも、契約が続く時は不思議なくらい続くんです。」
一方で、同じように活動しているように見えても、なかなか契約につながらない営業スタッフもいます。そして不思議なことに、売れる時は契約だけでなく、電話や来店、紹介までもが同じタイミングで重なることがあります。
我々は営業時代、この現象を「ビッグウェーブ」と呼んでいました。
南澤自身も若い頃は、「今日は運が良かった」「波が来た」としか考えていませんでした。しかし、店長として多くの営業スタッフを見続ける中で、その考え方は間違っていたことに気づいたのです。
例えば、一日で三件続けて契約になった営業スタッフがいたとします。
一見すると、その日に偶然契約が重なったようにも見えます。しかし実際には、その成果の多くは数か月前から積み重ねてきた訪問や電話、DM、紹介依頼など、一つひとつの活動が同じ時期に実を結んだ結果だったのです。
つまり、成果の波は偶然ではありません。
過去にまいた種が、一気に花開いただけなのです。
もちろん、偶然来店したお客様との商談が続くこともあります。しかし、紹介や買い替え、点検や車検の依頼などまで同じ時期に集中する現象を何度も経験すると、「運が良かった」の一言では説明できなくなります。
では、なぜ成果は一気に集中するのでしょうか。
南澤は、その理由には大きく三つあると考えています。
一つ目は、「成果にはタイムラグがある」ということです。
営業活動は今日行ったことが今日成果になるとは限りません。数週間後、数か月後、時には一年以上経ってから成果になることもあります。
つまり、今日の成果は、過去の自分自身が積み重ねてきた活動の結果なのです。
二つ目は、「成果が成果を呼ぶ」という心理的な要因です。
契約が続くと、営業スタッフは自然と自信が生まれます。表情が明るくなり、話し方にも余裕が出ます。焦って売り込む必要がなくなるため、お客様にも安心感を与えます。
すると、その雰囲気がお客様にも伝わり、新たな紹介や商談につながっていきます。
まさに、成果が次の成果を呼び込む好循環です。
三つ目は、「波を受け止める準備」ができているかどうかです。
どれだけ成果が集中しても、忙しさに追われて対応できなければ、その成果は取りこぼしてしまいます。
そのためには、日頃から仕事を先送りせず、常に身軽な状態を維持しておく必要があります。
やるべきことを後回しにしている人は、波が来た時には既に目の前の仕事に追われています。その結果、本来優先すべき対応に十分な時間を割くことができず、大きなチャンスを逃してしまうこともあります。
一方で、日頃から先回りして準備をしている人は、突然の来店や紹介にも落ち着いて対応できます。
つまり、成果を出す人は、波が来た時に初めて動くのではありません。
波が来る前から準備をしているのです。
つまり、成果の波は待つものではなく、受け止める準備をしていた人のところに訪れるものなのです。
そして、ここで多くの営業スタッフが陥る落とし穴があります。
営業は、成果が出ている時ほど危険なのです。
契約が続く。
忙しくなる。
すると、新規活動を止めてしまう。
その瞬間から、数か月後の売上は少しずつ減り始めています。
目の前の成果に追われることで、未来の成果を生み出す「種まき」が止まってしまうからです。
つまり、ビッグウェーブが来た時こそ、次のビッグウェーブをつくる活動を続けなければならないのです。
南澤自身、店長時代に最も重要だと考えていたのは、「売れている時」と「売れていない時」の行動でした。
売れていない時に活動することはもちろん大切です。
しかし、本当に差がつくのは、売れている時にも活動量を落とさない人です。
未来の成果は、今の活動によって決まります。
だからこそ、成果が出たことに満足するのではなく、次の成果を生み出すための準備を続けることが重要なのです。
しかしながら、このような活動を個人の頑張りだけで続けることには限界があります。
働き方改革によって時間的な制約も増え、成果を出しながら新規活動まで十分に行うことは、以前より難しくなっています。
実は、この「成果にはタイムラグがある」という考え方は、営業だけに当てはまる話ではありません。
人材育成も、採用活動も、マーケティングも、組織改革も同じです。今日取り組んだことが、すぐに成果となって現れることはほとんどありません。だからこそ、成果が見えない時期でも活動を継続できる仕組みが必要になるのです。
だからこそ重要になるのが、「仕組み」です。
南澤が提唱する「ストック型営業」では、先行受注や受注残を積み上げることで、売上の波をできる限り平準化することを目指しています。
売上が安定すれば、目先の数字に追われることなく、未来の成果を生み出すための活動にも計画的に時間を使うことができます。
結果として、「種まき」を継続できるため、さらに安定した成果へとつながっていくのです。
貴社では、成果を生み出すための「種まき」を計画的に実行できる仕組みがありますか。そして、成果の波に左右されるのではなく、自ら波をつくり出せる組織になっていますか?
著:南澤博史
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