◆第145話:成果を出す人と成果を出し続ける人の違い ~長く活躍するために必要なこと~

 

「南澤さん、成果を出す人と、何年も成果を出し続ける人は何が違うのでしょうか?」―――これは、サービス業で複数店舗を展開する経営者との会話の中でいただいた質問です。

 

この会社にも、ある時期だけ大きな成果を上げるスタッフは少なくありません。新しい部署に異動した直後や、新しい商品が発売された時など、一時的に大きな成果を出す人は意外と多いものです。

 

しかし、その一方で5年、10年と安定して成果を出し続ける人となると、一気に数が少なくなります。同じように成果を出しているように見えても、なぜその後に大きな差が生まれるのでしょうか。

 

南澤自身、26年間の営業人生の中で多くの営業スタッフを見てきました。そして感じるのは、「成果を出すこと」と「成果を出し続けること」は似ているようで、実は別の能力だということです。

 

成果を出す人は、今の成果を追います。もちろん、それは決して悪いことではありません。目の前の目標を達成するために全力を尽くすことは重要です。

 

しかし、成果を出し続ける人は少し違います。今の成果を追いながらも、同時に未来の成果をつくっています。

 

今月の数字を作りながら、来月の種まきをする。目の前の顧客対応をしながら、将来の顧客との接点をつくる。その積み重ねが、数年後に大きな差となって現れるのです。

 

南澤も若い頃は、目の前の目標に追われ続けていた時期がありました。

 

どうすれば今月の数字を達成できるか。どうすれば目標をクリアできるか。そのことばかりを考え、中長期的な視点が抜けていたのです。

 

結果として、連続目標達成が途切れた途端にスランプへ陥ったことがありました。目の前の成果を追うことに集中し過ぎて、その先の種まきができていなかったからです。

 

このような経験を積みながら、南澤自身も常に種をまき続けることの重要性を学びました。

 

例えば営業であれば、目の前の商談だけを追いかけていては、いずれ息切れしてしまいます。今月の数字を作りながらも、来月、半年後、1年後のための活動を同時に行う必要があります。

 

新規顧客との接点づくり、既存顧客との関係性強化、紹介をいただくための活動などです。これらはすぐに成果にはなりません。しかし、将来の成果を支える重要な活動です。

 

つまり、成果を出し続ける人は、「今の成果」と「未来の成果」の両方を見ています。一方で、成果が長続きしない人は、どうしても目の前の成果だけに意識が向きがちです。

 

これは営業だけではありません。業務改善でも同じことが言えます。

 

ある改善活動によって大きな成果が出たとします。しかし、その後何も改善が行われなければどうなるでしょうか。環境は変化し続けます。顧客ニーズも変わります。競合も変化します。

 

つまり、一度の改善で終わりではなく、改善し続けることが重要なのです。

 

成果を出し続ける人は、常に次の改善点を探しています。反対に、一度の成功体験に安心してしまう人は、やがて環境変化に取り残されてしまいます。

 

南澤はこれまで多くの人を見てきましたが、成果を出す人と成果を出し続ける人には、いくつかの共通した違いがあるように感じています。

 

まず、学びに対する姿勢です。

 

成果を出す人は知識を得ます。本を読んだり、研修に参加したり、資格を取得したりします。

 

しかし、成果を出し続ける人は学び続けます。

 

本や研修、人との会話から得た知識を、「どうすれば仕事に活かせるだろうか」と考え続けます。資格も取得することが目的ではなく、実務で活用することを重視します。

 

知識を得ることと、学び続けることは似ているようで大きく異なります。

 

また、成果に対する考え方にも違いがあります。

 

成果を出す人は、周囲からの評価や結果を強く意識する傾向があります。

一方で、成果を出し続ける人は、それ以上に価値提供を重視します。

 

お客様の役に立てたか。仲間に貢献できたか。自分自身が納得できる仕事ができたか。そのような視点を持っている人が多いように感じます。

 

さらに、人との関わり方にも違いがあります。

 

成果を出す人は、自分の力で頑張ろうとします。

もちろん、それは素晴らしいことです。しかし、一人の力には限界があります。

 

成果を出し続ける人は、そのことを理解しています。

だからこそ周囲を頼ります。協力を求めます。そして、自分も周囲を支援します。

 

一方的に助けてもらうだけではありません。自らも周囲に貢献しながら信頼関係を築いていくのです。

 

そして、これら全てに共通しているのが、素直さと謙虚さです。

 

成果を出し続ける人ほど、「まだまだ自分には足りない部分がある」と考えています。だからこそ人の意見を受け入れ、新しい考え方や変化を柔軟に取り入れることができます。

 

一方で、一時的な成果を上げた人が伸び悩むケースも少なくありません。過去の成功体験にとらわれたり、自分のやり方に固執したりすることで、学びが止まってしまうのです。

 

変化の激しい時代だからこそ、「知っている」ことよりも、「学び続ける」ことの方が重要です。そして、その土台となるのが素直さと謙虚さではないでしょうか。

 

また、成果を出し続ける人には、仕事そのものに対する目的意識があります。

 

南澤自身も振り返ってみると、「お客様の役に立ちたい」「スタッフを成長させたい」「周りの人に喜んでもらいたい」という思いが原動力となっていました。

 

長く成果を出し続ける人ほど、自分以外の誰かに向いた目的を持っているように感じています。

 

そして、もう一つ見逃してはいけない視点があります。

 

それは健康です。

 

どれだけ能力が高くても、体調を崩してしまえば本来の力を発揮することはできません。長く活躍している人ほど体調管理を大切にしています。

 

多少の無理はしても、壊れるほど無理はしない。まさに「中庸」の考え方です。

 

しかし、本当に個人の努力だけで成果を出し続けることはできるのでしょうか。

 

南澤は、ここに大きな誤解があると考えています。

 

確かに個人の能力や努力は重要です。しかし、それだけでは限界があります。

 

長く成果を出し続ける人の多くは、実は環境にも恵まれています。最新情報が集まり、お互いに学び合うことができる。成功事例や失敗事例を共有でき、困った時には相談できる。このような環境があるからこそ、成長スピードを維持することができるのです。

 

南澤自身も店長時代、一人の力には限界があることを痛感しました。個人商店のように一人で成果を出すことにも限界があります。だからこそ、スタッフ全員で知識や経験を共有し、お互いを高め合う仕組みづくりに力を入れてきました。

 

成果を出し続ける人は、能力だけでなく、環境・関係性・仕組みを持っています。そして、成果を出し続ける組織もまた同じです。

 

個人の頑張りだけに依存する組織は、優秀な人が抜ければ弱くなります。しかし、学び続ける仕組みがあり、お互いを成長させる文化がある組織は、継続的に成果を生み出すことができます。

 

四書の一つ『中庸』に、「君子は中庸し、小人は中庸に反す」とあります。君子は偏ることなく調和を大切にし、小人は極端に走るという意味です。

 

成果を出し続ける人は、目先の成果だけを追い求めるのではなく、学び、健康、人間関係、将来への投資をバランスよく積み重ねています。それは個人だけでなく、組織経営にも当てはまる考え方ではないでしょうか。

 

変化の激しい時代だからこそ、一時的な成果ではなく、成果を出し続ける力が求められています。その力は個人だけでなく、組織全体で育てていく必要があるのです。

 

成果を出す人を育てる仕組みは、多くの企業にあります。しかし、成果を出し続ける人を育てる仕組みはどうでしょうか。

 

貴社では、未来の成果を生み出し続ける人材を育成する仕組みがありますか。

また、メンバー同士がお互いに学び合い、成長し続ける組織文化が根付いているでしょうか。

著:南澤博史

 

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